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物語とエロスが満載のブログです。
秘書 萌美(34)
 そんな出来事があってから、秘書の服務規程にサスペンダータイプのパンストとショーツが追加された。そして、次の日から萌美も身に着けるようになった。

 それから、朝の社長の珈琲も萌美が淹れることになった。これまでは室長の専売特許だったのが、小野田の強い意向で萌美に決まった。

 美人秘書が三人もいると、嫉妬がらみの争いも起きる。それで相談の結果、朝の抱擁は倫子、そして朝と昼の珈琲は、それぞれ萌美と響子に分担が決まったという経緯だった。

 研修からちょうど一週間も経ったその日、出勤してきた小野田は倫子との抱擁をすませると、二人の秘書に挨拶をしてから社長席へと姿を消した。

 萌美は厨房に行き、熱い珈琲を淹れると、盆にのせて社長席へと行く。

「お早うございます」
 萌美は社長の大きな机の隅に珈琲カップを置いて、顔に微笑を湛えて小野田のいつものお返しを待つ。

 小野田は椅子を回転させて萌美に向き直り、腕を彼女の腰に回して引き寄せる。萌美は引き寄せられるままに小野田の顔を乳房の柔らかい谷間に抱えて身を預ける。

 室長にはみんなの前で、萌美と響子には社長席での抱擁と、高い給与とともに身体でも大切にしていることを、小野田は知らせるようにしている。

 そういう小野田の態度が萌美は嬉しかった。麦酒も満足に注げない不器用な秘書でもこんなに大切にしてくれる。

 野生の獣のような運動神経を持った若手の実業家。そんな社長に毎朝、抱擁される女秘書三人にとって、世間が騒いでいるパワハラとかセクハラなんてどこ吹く風だった。

 その小野田の抱擁がようやく解かれた。

「京葉電鉄から連絡はまだないか…」
「…はい」

 萌美も小野田から放れて、返事をした。

 連絡とは、研修で造成地を視察しているときに開発部長の五島輝彦に接待を催促されたときのことを言っている。小野田はその接待日時の連絡を彼から待っていた。

 だが、考えてみれば、そんなことは先方様から連絡があるわけがなく、こちらから気を利かせて調整するのが思いやりというものだった。あの輝彦の萌美を見つめる目には牡の本能が騒いでいる確かな手ごたえがあった。連絡が無ければ、もう一度、彼の鼻先に、美味しい餌を与えるだけの話だ。

 小野田は受け身から一転して攻勢に出ることにした。

「指名参加願いを京葉電鉄の本社に持参するから、その資料を作ってほしい」
「はい」
 萌美は返事をして席に戻った。

 初めて秘書の職務を命じられた萌美は気持ちが高まっていた。深呼吸をし、呼吸を整えてからパソコンのスイッチを入れて、『指名参加願』という業界の専門用語を検索する。

 『指名競争入札に参加するために必要とされる資格審査の書類で…』

 内容を充分に理解してから社長秘書専用のパスワードと個人のパスワードを入力。営業部のファイルを開ける。そのファイルに室長が色気で落札した芙蓉建設の指名参加願いがあった。

 そのファイルを開ける。会社の沿革、事業計画、これまでの建設事業の契約と実績等…。

 萌美は必要な部分をプリントし、化粧室に行く。そして鏡に全身を映してメリハリのある女の肢体に微笑むと、シャネルの口紅を時間を掛けて塗り直しながら休憩を済ます。

 席に戻る。そして京葉電鉄向けの指名参加願いの書類を作成していった。

 ワードとエクセルで書類作成に取り掛かって二時間ほどで出来上がった。プリントアウトしてから変換ミスと誤字脱字をチェックし、決裁に回す起案文書を作成する。

 起案者 秘書 新海萌美。
 決裁者 社長 小野田奨一。
 合議者 秘書室長、営業部長、課長、開発部長、課長。 

 最初の仕事に萌美は緊張し、書類が出来上がった時には顔が白熱電球のように火照っていた。すぐに社長に見てもらいたかったが、化粧室に行って火照った顔を冷やしてから、営業部、開発部と持ち回りで押印してもらい、社長の席へと行った。

「これでよろしいでしょうか」
 萌美は書類を小野田に差し出す。小野田はそれを受け取って机に置き、ページを捲っていく。

 エリートでもなんでもない叩きあげで社長になった小野田の目は粗探しをしない。書類の見出しと最初と最後のペーシを読むだけで終わりになる。

 小野田は読み終えた書類を机に置くと、萌美に向き直った。そして、
「午後一で出陣だ」
と、彼女の肩を軽く叩いた。


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