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物語とエロスが満載のブログです。
秘書 萌美(72)
 五、戦士の淫らな肉体

 輝彦のレクサスは高速道路を抜けて、伊豆半島の東海岸を走っていく。天気も回復して空は高く、窓外には群青に輝く海原が広がっている。

 輝彦の機嫌も良く、ハンドルから時折、長い腕を延して萌美の脚に触れてくる。萌美も彼の手を拒まないでパンストの美脚を差し出している。彼もスカートを捲ってくることはなく、信号で車が止まったときだけ手を忍びこませてくる。

 後部座席の慶太たちといえば運転をしないので濃密な触れ合いも可能で、ときどき倫子の口から漏れた声が前席まで届いてくる。

「親父も若い気持ちでいるからな…」
 輝彦が倫子の声を聴いて、そんなことを呟いてくる。

「おいくつです」
 萌美も話し相手になるつもりで訊いてみる。

「今年、還暦かな」
「まだ、お若いですね」
 萌美は社交辞令のつもりで返す。

「若すぎるぐらいだ。いまでも毎夜、母を抱いているらしい」
「…!」

 萌美は返す言葉を失った。六十才になっても妻を毎日、抱いているという性生活。奥様が羨ましいというよりも、彼の精力が末恐ろしい。そういう絶倫の父親だからこそ、いまの輝彦があるのは当たり前のことかもしれない。

 輝彦は砂浜の海岸を臨むドライブインの駐車場に車を入れた。休憩の必然性よりも、後ろの二人の秘め事に水を差すつもりで止めたらしく、彼は笑いを堪えて運転手席から降りていく。萌美も彼の後に続いて降りると、慶太たちも渋々、降りてくる。

 ドライブインは週末を控えて混雑していた。一行は中に入るのをやめて、潮風に晒されている自販機の缶コーヒーで済ますことにする。旧式の自販機でコインを入れると、崖崩れのような大袈裟な音を発して落ちてくる。

 一行は缶コーヒーを口にしながら砂浜の海岸へと歩いていく。こんどは倫子たちが先で、その後を萌美たちが付いていく。

 すでに出来上がっているのか、倫子たちは若いペアのように身を寄せて歩いている。そして時折、立ち止まっては周りの目も気にしないで抱き合う。

「もうすぐ旅館に着くというのに…」
 輝彦が前を行く二人を見ながら呟き、萌美の括れたウエストに腕を巻き付ける。萌美も彼の腕の思うままに身を預ける。

 ゴルフ場ではあんなに輝彦を非難していたのに、いまでは身体が彼にすり寄っていく。車内で倫子たちに見せつけられたのもあるし、乳房の疼きがふたたび始まったせいもある。

 萌美は彼の腕に腕を絡めて乳房に押し付けて愛撫を促す。なのに輝彦は気づかないのか、遠くに視線を預けて砂浜を歩いていく。

 数羽の海鳥が波打ち際に舞い降りると、砂利に棲む小海老を嘴で啄んで飛んでいく。それを話の種にして輝彦が話しかけてくるが萌美からは曖昧な返事だけ。

 男は精神と肉体を分離できるが女はそれができない。欲求があると心はそぞろで、頭は欲求を充たす妄想で悶々とする。

 …あんなに触ってきたのに。

 萌美の頭の中は欲求で一杯になっている。

 そんな萌美の欲求なんかどこ吹く風の輝彦は、抱き合いながら前を歩いている慶太たちを見ながら、
「親父の奴、室長さんを触りながら歩いている」
と、刺激的な言葉を口にしてくる。

 萌美はいたたまれずに絡めた輝彦の腕を乳房にいっそう押し付けて立ち止まる。
「どうした?」
 輝彦が薄い笑みを顔に湛えて訊いてくる。

 萌美はどうしても愛撫の催促の言葉が口に出てこない。艇で抱かれて恥ずかしさなんて霧散しているはずなのに女の貞淑がまた邪魔をしてくる。愛撫は男が女の気持ちを察しての行為だと思っている。

「何でもないの…」
 萌美は顔を下に向ける。

 女の欲求がどうして今日はこんなに強いのだろう。欲求が強いときには、愛撫されなくても膣の中が熱く潤ってくるのがわかる。その感覚がいやらしいくらいに生々しい。

 萌美は意を決して顔を上げ、輝彦を濡れた瞳で見つめる。

「どうしました?」
 輝彦は相変わらず紳士のような口の利き方をしてくる。

「いいえ…」
 萌美はせっかく上げた顔を下に向けてしまう。 


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