FC2ブログ
Eros’Entertainment
物語とエロスが満載のブログです。
秘書 萌美(78)
 慶太たちの部屋は和室の他に洋間もある広い間取りになっていた。輝彦たちが行くと、慶太たちは、まるで何もなかったかのようにお澄まし顔で御膳に腰を下ろしていた。

「お待たせ」
「お待たせしました」
 
 輝彦が慶太の前に座り、萌美はその隣に腰を下ろした。正面には室長の倫子があんな声を上げながらセックスなんかしていません、という顔で澄ましている。

 御膳には四人分の料理が並んでいる。岩魚の塩焼き、山菜の和え物、茸の茶碗蒸し等、質素な料理はいかにも山峡の宿らしい。

 女たち二人は麦酒の栓を抜いて、それぞれの相手の男に注いでいく。そして、その男たちに注ぎ返されていく。

 萌美は輝彦に注ぎ返されながら、浴衣の衿や裾を気にする。考えてみれば浴衣の下は全裸であり、セックスの最中に中断された生煮えの女体が疼いている。一方、倫子ば浴衣の下にはブラをし、ショーツも穿いているようだし、慶太に抱かれて満足した後なのか、いやらしい声で啼いた女の面影はすっかりリセットされている。
 
「小野田ハウスの秘書さんのご活躍に乾杯」
「京葉電鉄さんの益々のご発展と、社長さんと部長さんのご健康をお祈りまして乾杯」

 幹事の輝彦の後に室長の倫子が添えて乾杯した。乾杯を終えて銘々勝手に箸を割り、質素な料理に箸を伸ばし始める。

「親父よ、念願の秘書さんと温泉にこれた感想は」
 輝彦は萌美の腰に腕を巻き付けて抱き寄せ、父親の慶太に笑みを浮かべて尋ねる。

 慶太は箸で抓んだ岩魚の肉を咀嚼し、コップの麦酒で喉を潤してから倫子を抱き寄せて、
「夢のようだ」と言い、
「夢が醒めないうちに、そっちの美人とも遊ばないと」
と萌美を見つめて、男の願望を口にしてくる。

 慶太はゴルフのコンペでの萌美のノーブラを見て『あのオッパイを揉んでみたい』と呟いたときの、輝彦の『温泉に行ったら女を貸してあげる』と返事をしたときのことを忘れていないのだ。

 輝彦はそのことを思い出して、
「本人がいるから、口説いてみないか」
と、返した。

 輝彦はゴルフ場での密約のことをあえて萌美に話してみた。

「…貸してあげるなんて、わたしはモノじゃありません」
 輝彦から聞いた萌美は当然のように返した。その言葉が倫子の耳にまで聴こえた。

 詳しい事情を知らない倫子は萌美が接待のことを忘れていると思い、席を交代させることにした。萌美も輝彦の嫌らしさと焦らしにはうんざりしていた。

 二人の秘書は席を立つと、倫子は輝彦の傍に、萌美は慶太の傍に行って、ご挨拶をして座った。その席でもう一度、乾杯をして、質素な料理に箸を延す。

 宴席の四人とも旅館の料理に舌鼓を打つ気持ちはさらさらなく、男たちはどのように女と楽しむかの策を練り、女たちはどのように男たちが出てくるのかをはらはらして待っている。


スポンサーサイト
[PR]

[PR]


コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する
Copyright © Eros’Entertainment. all rights reserved.