FC2ブログ
Eros’Entertainment
物語とエロスが満載のブログです。
秘書 萌美(96)
 輝彦のレクサスは御殿場のインターを下りる。他の車も豪雨を避けて休憩をとるのかレクサスの前も後ろにも車が連っなている。

 料金所を通過して信号のある交差点で停まる。信号待ちをしている車の屋根から飛沫がたっている。

「右折するとレストランがある。左折はホテル街へと行くのか…」
 輝彦が信号機の赤を見つめながら呟いてくる。

 萌美は左へと意思を示す勇気がない。輝彦にあんなに激しく、そして嫌らしく抱かれたのに、また貞淑癖が脳裏に棲みついている。

「…食欲がないの」
 それでも萌美は勇気を振り絞って返した。それが精一杯の意思表示だった。

「だったら軽食にすればいい」
 輝彦があっさりと返してくる。

 輝彦のいじめなのか、それとも女の欲求に気づいていないのか萌美にはわからない。けれども浜辺での中途半端なセックスで若い女の性欲が鎮まると思っているような脳天気な男ではないのは明らか。それなのに…。結局は、はっきり女の欲求を示さない貞淑ぶっている女が悪い。

 萌美が脳裏でぶつぶつと自己非難していると、信号が赤から青になって車が走りだした。国道のファミレスで食事でもするのか、ほとんどの車が右折していく。

 萌美は輝彦の方へ手を伸ばして肩に触れたり、太腿に置き直してズボンを掴んだりして女の切ない思いを伝えた。よく昔の彼とのドライブではそうして女の欲求を知らせていた。それでも成功率は百パーセントを切っていたが…。

 レクサスも前の車に遅れて交差点へと進み出していく。萌美はいっそう強く輝彦のズボンの生地を掴む。

 それて輝彦がようやく気づいてくれたのか、
「…ファミレスで品質の悪いステーキでも食べるよりも、最高級の女の肉を味わうとするかなぁぁ」
と、口元に笑みを浮かべて萌美を見つめてくる。

 萌美は彼のズボンを掴んだまま顔を赤くし、
「その女の肉を味わってください」
と、勇気を出して返し、身体の奥まで熱くした。

 輝彦は信号を左折すると車を加速した。あんなに強く降っていた雨がいつのまにか小康状態になり視界も良くなっている。道端の電柱にはホテルの広告が貼られていて矢印が記されている。

「…あの豪華なホテルがいいな」
 電柱に貼られている広告の写真を見て輝彦が言う。

 その広告のホテルはインター付近のホテル街にあるのではなく遠くの丘に聳えている城郭づくりのラブホで、輝彦のレクサスはホテル街の道を過ぎていく。

 欲求を告白した女を輝彦がいじめないわけがなく、萌美は雨が止んで明るくなってきた窓外に視線を預けながらも落ち着かない。

「…美人は欲求を告白しても絵になるから許される」
 輝彦が車のアクセルを緩めて、そんなことを呟いてくる。

「…谷崎の小説で男に恵まれない醜女の自慰シーンを読んだことがあるが、ぞっとするほどおぞましい。…女の欲求って男とは次元が違うほどに強いとはな」
「……」
「そのてん、あんたのような男好きのする美人は欲求があればいくらでも相手がいる」
「……」
「そういう恵まれ過ぎている女を苦しめてやりたいと思うが。男もあんたのような女が好きだからどうしようもない」

 レクサスは電柱の広告の矢印に従って県道の交差点を右折し、丘の上のラブホを目指して舗装された畑の中の一本道を走っていく。

 空は雨雲が切れて薄日が射してくる。その日射しが丘の上のホテルに降り注いで、城郭造りのラブホが萌美の目に迫ってくる。

 そのホテルを眺めているだけで萌美の身体の奥が熱く潤んでくる。萌美は腰をもじらせて輝彦のシャツの袖を掴む。

「…美人秘書さん、恵まれ過ぎていると思いませんか。セックスがしたくなっても相手に不自由しないから」
 そう呟いてくる輝彦のいじめに萌美は黙って耐える。うっかり返してしまうと言葉尻を捉えられて、いじめがひどくなるから。

 萌美は輝彦に返さない分、脳裏で自分を正当化する。

『不美人よりも美人に生まれた方が人生は得することが多い。けれどもセックスでは必ずしもそうとは限らない。なぜならば男好きのする美人は男から恥ずかしい淫語の強要や焦らされたりして、いじめられることが多いからだ』

『だからといって欲求の火が燃え盛っている女は開き直ることができない。とくに輝彦のような巨茎の男に抱かれると、肉体が融かされていくような摩擦感が忘れられず、どんなにいじめられても女は受け入れてしまう。それが悔しい…』


スポンサーサイト
[PR]

[PR]


コメントの投稿

 管理者にだけ表示を許可する
Copyright © Eros’Entertainment. all rights reserved.