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物語とエロスが満載のブログです。
秘書 萌美(39)
 輝彦の艇が桟橋に戻ると、予約していた夕食のセットが準備されていた。マリーナの従業員が待っていて、接岸した艇のデッキにテーブルからコンロ、そしてバーベキューセットと酒類が手際よく運ばれていく。

 輝彦と小野田はその彼らの手伝いをしているが、萌美はというと艇内でお化粧直しをしている。口紅を塗り直し、パンストの伝染をチェックする。そして最後にショーツを新しい物に穿き替えていく。

 …指で突いてくるなんて。

 萌美はショーツを穿き替えると化粧室を出、室内からデッキに出た。デッキでは宴会の準備か整っていて、男二人が萌美を待っていた。

「部長さんの美人秘書が戻ってきましたよ」

 小野田が室内から現れた萌美を目線で指して輝彦を促した。輝彦は躊躇うことなく萌美の傍まで来ると、腰に腕を回して抱き寄せる。

 萌美は顔を背けて腰だけを預ける。その萌美の冷めたい態度を小野田が目で非難してくるが萌美は無視をした。いくら接待する側の秘書だとしても、女の自尊心は捨てられない。『気持ちいいだろう、だなんて』あんな恥ずかしいことを言われて、機嫌よく身体を預けることなんかできない。

 全員がデッキに揃ったところでテーブルのコンロに点火され、バーベキューの具が鉄板の上に置かれていく。牛肉、鮑や貝類、そして野菜等。小野田が注文した酒類はワイン、日本酒で、なぜか麦酒が省かれている。

 萌美は小野田が意識的に省略してくれたのだと思い、胸を撫で下ろした。

 いまだに麦酒の泡をコップから溢れさせてしまう不器用に萌美は自分が情けなくなるが、その分、美貌を磨き上げるようにしている。この一月余りフイットネスクラブに通い、三キロ近く減量していっそう巨乳を際立たせている。

 小野田が輝彦のグラスにワインを注ぎ、そして輝彦に注ぎ返され、萌美のグラスにも注がれて乾杯になった。

 三人とも椅子から立ち上がってグラスを合わせる。

「京葉電鉄不動産の益々の発展と、部長さんのご健康とご活躍を願いまして乾杯」
 小野田が声高らかに音頭を取り、続いて輝彦からお返しの音頭。そして乾杯するとそれぞれの椅子に腰を下ろした。

 萌美はというと、腰掛けた椅子があまりにも輝彦の方へと寄せられているので、常識的な位置に戻してから座り直した。それも小野田の反感を買うことになり、それが結果的に萌美の恥辱の宴に繋がっていくことになる。

 小野田と輝彦は乾杯の後、ワインを呑みながら肉や貝類のバーべキューに舌包みを打ち、マリーナの運営の話しに花を咲かせた。その間、萌美は聞き役に徹して、今夜の接待が無事に終わることだけを願っていた。

 ところが話が尽きるころになって小野田が話題をマリーナの話から堕としてきたのだ。輝彦の顔にもほろ酔いの赤みが差していたから、いい頃合いだと思ったのだろう。

「部長さん、このままでいいんですか。創立記念日なので今夜は無礼講にするつもりですけど」
 小野田はあえて萌美の身体に目を這わせてから輝彦に薄く笑う。

 それが何を意味するのか輝彦にもわかる。これまで紳士面をしてマリーナの経営の話をしていた彼が、一瞬、照れたように笑ったが、顔にじわりと女好きの本性が現れてくる。

「こんな美人を前にして、男としてはもったいない限りですな」
と、輝彦も隣の椅子に腰かけている萌美の胸や脚に視線を這わせる。

 男が美人と遭遇する確率は、その男の職業と行動範囲に左右されるが、この小野田ハウスの秘書はこれまで輝彦が遭った女の中でも際立っている。顔はほどほどの美人だが、なんといっても身体の造りが抜群で、男の本能を激しく刺激してくる。

「いい女でしょう」 
「まちがいなく、いい女だ」

「どうです。ブリッチの続きを再現してみませんか」
 小野田は輝彦の方に顔を寄せて、いかにも嫌らしい顔付きで囁き、彼を嗾ける。

 萌美は宿泊研修での接待のことを想い出した。室長の倫子が色気で芙蓉不動産の部長を堕としたときの淫らな抱擁を宴会の席で再現させたときのことを。

 その研修のときのことが自分の身に起きようとしている。萌美は逃げ出したかったが、席を立つほどの勇気がない。席を立ったら最後、秘書として会社に出勤できないことがわかっていた。

小野田に嗾けられた輝彦が椅子から立ち上がると、
「見られていましたか」
と、照れながら萌美の背後に回ってくる。

「室内で海風を避けていたんですがね…。いいんです、いいんですよ。部長さんに可愛がっていただけるなんて光栄の至りですから」
 小野田は輝彦のグラスに赤ワインを注いでから、自分のグラスにも注ぐ。

 その小野田の背徳な言い方が輝彦にも移り、
「あのときは、こちらの秘書さんに操縦をさせてみたいと思いましてね、こうして後ろに回って…」
と、背後から萌美のブラウスの胸に触れる。

 あのときの萌美には夕暮れの海のロマンチックな雰囲気があった。その気分が全くない今、ただの中年のスケベ男に成り下がった輝彦に萌美は顔を背けて、彼の手を掴む。そう抗いながらもブラウスの上から乳房を揉まれていく。好き嫌い関係なく、接待という弱い立場の女の切なさが彼女の口から声となって漏れていく。

「ぁ…ぃゃ、ぃゃ」と。

 マリーナはすでに営業を終えていて、これまでの賑わいが嘘のように静まり返っている。それでも桟橋では艇のデッキでランプや電気を灯して、飲み食いを楽しむオーナたちの声がどこからとなく聴こえてくる。

「人の目もあるので、室内に入りましょうか」
「そうですね」
 小野田が言い、輝彦も頷く。

 萌美は輝彦の手が胸から放れたのでほっとしたが、小野田がとんでもない提案をしてきた。
「手が邪魔でしょう。秘書の手を縛りましょうか」と。



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